囚われの身のソフィア、ついに悪の組織ベルソード団現る#7
グランパのお陰で、快調に遺跡の奥へと進んでいく。
しかし、大量に住み着いているのは犬ころのスカイルだけではなかった。
紺色と白を基調としたユニフォームを身にまとう、見るからに胡散臭い連中がこの遺跡に蔓延っていたのである。
彼らはベルソート団員と名乗り、戦いを挑んできたのだ。
組織として良く統制がとれており、蜂の巣をつついたかの如く、次から次へと際限なく現れて、我々の行く手を阻む。
遺跡を進むと、いったん地下に降りるようになっており、そこはフロアの半分ほど海からの水が流れ込んでいるようだ。目の前には、大きな鉄柵で覆われたオリのようなものがある。ベルソート団が、獰猛なテムテムでも閉じ込めているのかもしれない。
そんな事を思いながら、おそるおそる近づいてみる。
なんと、オリの中に居たのは、獰猛なテムテムなんかではなく、アリッソラ道場のリーダーであるソフィアであった。
あなたは、なぜこんな所に閉じ込められているのですか?
「サーフィンを楽しんだあとで、このあたりでちょっと休憩していたのよ。そしたら、大量の部下を引き連れた女性が現れて、私に変な質問をしてきたのよ。隠された財宝がなんとかって・・・」
隠された財宝とは何ですか?
「私にもよくわからないわ。知らないわって言ったんだけど、部下たちに捕まって、ここに閉じ込められちゃったわけなの。」
なるほど、そうだったんですね。今から扉をあけますから、ちょっと待ってくださいね。
グランパ、扉を壊せるかい?
「オーッフォフォフォ、それは無理だワネ。私の風攻撃デハ、そちらの中に入っているソフィアさんも一緒に切り刻んでしまうことになるワヨ」
それでは、どうすれば。ソフィアさん、鍵はどこにあるかわかりますか?
「あの女性が持っているはずよ。確か、レディーロッティーと呼ばれていたと思うわ」
わかりました。それでは、そのレディーロッティーとか言う女性を探しにいきます。それまで、そこで辛抱してください。
レディーロッティーを探して、遺跡の奥へと進む。地下を過ぎた後は、上りになっており、以前にも増してベルソート団員が待ち構えているようだ。
グランパもクリストルも必死に戦った。それでも、連戦に連戦を重ねていくにつれて、ジリジリと体力を削られ、もう駄目かと思われたところで、急に外に出た。
急に外に出たものだから、一瞬目の前が真っ暗になって何も見えない。
徐々に視界が復活してきたので、辺りを見回すと、そこは遺跡の終着点は頂上であった。
近くで女性の声が響いている。
「お宝は近いわっ!なんとしても探し出すのよ!」
声の聞こえる方へ進むと、レディーロッティーと思しき人物が崖のすぐ上に立っていた。
彼女は、遺跡の中に居たベルソート団員たちと似た雰囲気の服を身に着けているのだが、その服は、他の団員とは違って、ワイン色を基調としたワンピース風になっている。特徴的な髪型をしており、髪はまるでお城の鯱のように反り返っている。また、目と眉毛が細くつり上がっており、今にも飛びかかって来そうな雰囲気が漂っている。
あの・・・、あなたが地下に閉じ込めているソフィアという女性を助けるために来ました。彼女はお宝とはなんにも関係ない、ただのサーファーなんです。鍵を渡してください。
「いやに決まっているでしょう?私は悪役よ。アンタも一緒に、地下に閉じ込めてあげるわ!」
グランパもクリストルも奮闘したが、体力はもう既に限界にきていた。
特に彼女が使うバーンシーというテムテムは強く、今までに会ってきたテムテムと比べて異彩を放っている。
「ぐぐぐ、もう駄目ダワ・・・、これまデヨ」
「いや、まだです。ま、まだ諦めては駄目ですグランパさん・・・。も、もう少しです・・・」
やった。何とか倒したぞ。グランパ、クリストル・・・よくやったぞ。ありがとう。
「いえいえ・・・何とか・・・これもグランパさんの・・・。あ、あれ・・・、ご主人さま、何だか身体がおかしいです。う、う、うあああああああ」
まばゆい光に包まれた小さいクリストルの身体が、どんどん大きくなっていく。
「オホホ、あなたも成長しましたワネ」
「グランパさんのお陰ですよ・・・。私だけでは、あのバーンシーを倒すことはできなかったです」
「イイノヨ、言わなくて。それは私もダカラ、同じことナノ!アンタも強かったわよ」
なんだか、お前たち仲良くなったみたいだな。
さて、鍵も手に入ったことだし、ソフィアを助けに行こうか。
途中、偶然にもバーンシーと遭遇したのでテムカードを投げると、あっさり捕獲できた。
どうもおかしいと思ったら、異常に個体値の低いテムテムであった。レディーロッティーの持っているテムテムとは比べ物にならないだろう。
リリースしてしまおうかと思ったが、一旦テムボックス送りとした。
急ぎ足で、地下まで戻り、ソフィアが閉じ込められているオリの扉をあけた。
「ありがとう。何とお礼をいったら良いのやら・・・。これでアリッソラ道場に戻れるわ!あなたも挑戦してきてね。道場で待ってるわ」
えぇ、是非ともお願いしますよ。
ソフィーはサーフボードに乗って、一人で颯爽と海へと消えていった。
さぁ、私達もアリッソラに帰ろう。
激戦の末に、仲良くなったグランパとシーラルド(クリストル)。
次回はついにアリッソラ道場主のソフィアと戦うことになるだろう。けれども、この2匹が居る限り、心配することはない。
そう思うのである。
冒険はつづく。