群がる野犬、突如として喋りだした1匹の大鳥#6
「ここを通すわけにはいかんのじゃ!!」
バストンッ!(いいでしょう。それでは、殴り合いです)
そして、あっさりと負けてしまう通せんぼお爺さん。特訓後のテムテム達は負け知らずなのである。
「すまなかった・・・。命だけは、命だけは助けてくださらんか。ただ、孫の小遣い稼ぎがしたかったんじゃ。最近、孫からの要求が多くなって、つい無茶をしておったのじゃ・・・」
お爺さんも大変ですね。お孫さんに会ったら、金をせびるのをやめるよう言っておきますよ。
「そうか・・・。それは、ありがたい。わしの孫はマックスというのじゃ」
やれやれ、マックスですか。困ったものですね。
「ご主人さま、何で独り芝居なんかやってるんですか?先に行きますよ」
おぉ、クリストルか。今回は撮れ高が無いから、何とか話を盛っているんだよ。
「・・・?」
ソフィアを探して橋を進んでいると、道の突き当りが洞窟の入り口になっていた。おそるおそる入ってみると、大量の野犬スカイルが彷徨いている。
おそらく、狂犬病の予防注射なんてしていないだろうから、噛まれると私の致命傷になりかねない。
クリストルと二人で悩んでいると、どこからか声が聞こえた。
「ここは、私に任せてください。犬っころは得意分野ですから」
えっ、誰だ?
「そうです。ファラックです。ここは私にお任せを、スカイル共を一掃してみせましょう」
自分で得意だと言うだけあって、スカイルには強いようだ。クリストルは弱点で2倍のダメージを受けているが、逆にファラックは2分の1のダメージしか受けていない。
「フォフォッフォ、調子がでてきましたワヨっ!」
なんだか、キャラクターまで変わってきている気もするのだが、調子に乗ったファラックは、スカイルを容赦なく倒していき、気づくと数時間が過ぎていた。
「オーッフォッフォッフォフォ、もうこれで私は最強ザマスヨ。スカイルちゃんがいくら束になってきても私に勝てる見込みはゼロよっ」
「もうここに留まる必要は無いデスワヨ。スカイルは1匹残らず倒してしまいましたカラ。まぁ犬っころの事だから、どうせ何処からともなくやってきて、洞窟ですぐ増えちゃうでしょうけど。なんたって下品でお盛んな種族ですからね。アラヤダ、私ったら、ウフフ・・・」
う、うん。そうだね。ありがとう助かったよ。それじゃ、先に進もうか。
それにしても、君がこんなにも強いだなんて知らなかったよ。これからは、ぜひ先頭に立って戦ってほしいな。
「オーッフォッフォ、まぁこれは当然ザマショウネ。いいデスワヨ」
クリストル、残念だがお前は二番手に回ってくれ。すまない。
「えっ・・・」
突如として活躍を始めた一匹の鳥、ファラック改めグランパ。
主役を奪われたクリストル、果たして挽回は出来るのであろうか。
冒険は、つづく。